インタビュー

シャイだった少年が人情味あふれる包丁屋さんに…タワーナイブズのハイバーグさんが語る「人生はすごいよ!世界はすごいよ!」

「好き」を大切にされている方々にインタビューしています。「色んな生き方があるんだな…」「こんなことができたらいいな…」など、将来を考えるきっかけにしてもらえたら嬉しいです!

ビリケンさんにジャンジャン横丁・串カツ・どて焼きetc…。コッテコテの大阪を満喫できる通天閣界隈は、世界中から多くの人が訪れる観光スポットです!

そんな通天閣のお膝元には、観光客や地元の人々に大人気の包丁専門店 Tower Knives Osaka(タワーナイブズ大阪)があります。そして、お店のオーナーは、カナダ生まれでデンマーク育ちの『ビヨン・ハイバーグ』さんです。

「お店はショールーム。売ることは二の次」とおっしゃるハイバーグさん。どのような人生を経て包丁の世界にたどり着いたのでしょうか?気になりますね…?ということで、インタビューしました。

内気だった少年時代に旅が与えてくれたもの

キシャロン

ハイバーグさんは、どのような子ども時代や青春時代を過ごされましたか?

私は、カナダで生まれて2歳のときデンマークに引っ越ししました。

デンマークでは『外国人』という立場でいじめられました。朝から晩までケンカして、おかげでケンカが上手くなって(笑)、1年生になる頃にはいじめられなくなりました。

とても田舎に住んでいたので、近くにぜんぜん家がなくて、同じくらいの年齢の友だちがいませんでした。でも、お父さんが「息子と遊んでくれたらうちの川で魚釣りしても良いよ」と5歳年上の子どもたちに声をかけてくれたので、お兄さんたちと遊んでいました。

当時は、とても恥ずかしがり屋だったので、学校で当てられても黒板で説明することさえできませんでした。

人と喋るようになったのは、19歳の時の南アフリカ旅行がきっかけです。

南アフリカでも『デンマークから来た外国人』という立場でしたが、今回はいじめられませんでした。どこに行っても人が駆け寄ってきて「外国はどんなところ?」「デンマークはどんなところ?」と質問され、私の話を「知らなかった!」「面白い!」と喜んでくれました。

だから、私は喋ることが大好きになりました。

キシャロン

ハイバーグさんは、学校の勉強が好きでしたか?

学校が楽しくなくて、高校に行くかどうか悩んでいた時期がありました。

でも、9年生(日本の中学3年生)の時に、家を離れて寮のある学校に転校したことで「もっと勉強したい」と思えるようになりました。

そこの学校では「どうしてこの勉強が必要なのか」を説明してくれました。そして、世界中を旅した先生方が集まっていたから、面白いお話を聞かせてくれたり、今までとは全く違う考え方や方法を教わることができました。

また、読み書きに興味がなくても体験型の授業を選ぶことができました。
私はスポーツの授業をとらない代わりに『ハチミツを育てる授業』や「狩のライセンスをとる授業』や『溶接のやり方』など「いつ使うの?」というような授業を受けていました(笑)。

たった1年の経験だったけど親元から離れて、新しい経験をして、新しい縁ができたおかげでやる気が復活しました。

チャレンジを繰り返してつかんだチャンス

キシャロン

どうして、包丁の世界に足を踏み入れたのですか?

実は、小さなころからデンマークの森で日本製のナタや斧を使っていて、「日本製品は、よく切れて長く使えるな」という印象をもっていました。

その後、日本で英語教師をしていた時に「スイス製の『研ぎもの』を日本で販売しよう!」と包丁会社にアピールに行き、そこで出会った包丁の切れ味にびっくりしたのです。

結局、研ぎものは扱ってもらえませんでしたが、その包丁会社から「包丁の輸出を手伝ってみませんか?」と声をかけられました。英語教師より給料は安かったけれど、「やってみたい!このチャンスを掴まなければ絶対後悔する」と、その包丁会社で働くことにしました。

そして、輸出を手伝いながら包丁について勉強するうちに、「もっと包丁の良さを伝えたい」という思いが強くなったのです。

こうして、2011年の1月。通天閣の近くに『タワーナイブズ』をオープンしました。

19歳から色んなことにチャレンジしてきました。ワーキングホリデーで日本に来たこと。スイス製の研ぎものを販売するために行動したこと。何も知らなかった『包丁の世界』に飛び込んだこと。

勇気を出してチャレンジを繰り返していたら包丁が好きで離れられなくなりました。包丁バカになりましたね(笑)。

ピンチをのりこえて会社は強くなった

キシャロン

タワーナイブズはオープン当初から順調でしたか?

「観光客が来るだろう」と期待していたのですが、お店をはじめてから2ヶ月後に東北で大きな地震が起きて観光客が減りました。さらに、円高で輸出も難しくなり、なかなか上手く行きませんでした。

お客さんはあまり来ませんでしたが、隣にあるお宮さんや喫茶店のトイレと間違えて入ってくる人がいたので、その人たちに包丁の説明をしていました。

最初は「外国人が包丁に詳しいはずがない」と思われていましたが、だんだんと説明が上手くなり、間違えて入店してきた人たちがお友達を連れてきたり口コミしてくれるようになりました。こうして、お客さんが来るようになったのです。

お客さんが来ないからと諦めず、間違えて入ってきた人たちに説明しつづけたおかげで『説明する力』が身につきました。

キシャロン

コロナ禍は、どうやって乗り越えましたか?

観光客は0になったけど、スタッフは30人くらいいたので経済的に大変でした。

「じゃあどうする?」「お客さんを待つだけでいいの?」・・・そうではなくて、スタッフを教育する機会にしました。

英語を覚える、名入れの技術をスタッフ全員が身につける、接客技術を磨く、包丁作りや修理のレベルを高めることに力を入れて、会社をもっと成長させることができました。

苦労から逃げることは簡単だけど、チャンスに変えると強くなれます。苦しみから経験したことは何かの形できっと役に立つ時がきます。

ハイバーグさんの説明に聞き入るツアーのお客さま。

スタッフ全員が名入れの技術を身につけています。

『包丁の学校』タワーナイブズがお客さんに選ばれる訳

キシャロン

タワーナイブズとはどのようなお店なのでしょうか?

包丁について勉強するうちに、対面で『包丁の使い方』や『メンテナンス方法』などを伝えたいと思うようになりました。

うちのお店は、お客さんにわかりやすく包丁の説明をする『包丁の学校』です。

説明を聞いて納得したなら買ってくれたら良いし、他のお店で買っても構いません。ただ、せっかく買ったなら、基本レベルの研ぎ方や使い方だけでも知ってもらって何十年も使い続けてほしい。だから、研ぎ方を無料で説明しています。

しっかりと説明を行うようになってから、お客さんたちの反応が変わって、「もっと包丁について教えてほしい!」「もっと良い包丁がほしい!」と言ってもらえるようになりました。さらに、「日本に行くならタワーナイブズで包丁の勉強をしたら良いよ」と友達や親戚に勧めてくれるようにもなったのです。リピーターが多いのもうちの良さです。

だから、無理やり売りつけたりしません。「今、買わないと無くなってしまいます」というような売り込みは禁止です。

店内はショールームのように包丁が美しく展示されています。

お店で野菜を切って、包丁の切れ味を試すことができます。

基本的な包丁の研ぎ方や使い方を丁寧に教えてもらえます。

子どもたちへ「世界はすごいよ!」素敵な縁をひろげよう

キシャロン

ハイバーグさんから子どもたちにメッセージをお願いします。

人生はすごいよ!世界はすごいよ!
私の周りには素敵な人がいっぱいいて、毎朝笑顔で目を覚ますことができています。

でも、54年間ずっとそうではなかった。良い時も悪い時も苦労もたくさんありました。

だけど、苦しみから学んだおかげで、人に優しくなり喋り方も優しくなりました。すると、喧嘩していた相手も急に優しくなりました。喧嘩を売って攻撃したら攻撃が返ってくるけれど、喧嘩をやめて優しくしたら周りも優しくなります。

キシャロン

優しい世界やあたたかい世界は、自分の心がけ次第でひろがって行くのですね。

そして、自分自身の殻に閉じこもっている人は、そこから出て人と話したらすごく楽しいですよ。

キシャロン

ハイバーグさんも、自分の殻から出たことで多くのご縁に恵まれましたね。

縁がない?知り合いがいない?・・・それは、自分から開こうとしないから。

今の私は、電車であった人や外を歩いている人に自分から声をかけます。ちょっと声をかけてみたら、同じ興味や共通の知り合いがいるとか、びっくりするくらいの縁がありますよ。

キシャロン

大阪を・人を・人生を愛するハイバーグさんも自分をのりこえてきたから今があるのですね。「一歩前に踏み出してみよう!」と思えるような、力強くも優しいお話をありがとうございました!


タワーナイブズ大阪 刃物工房

日本製にこだわった厳選された包丁を多数取り揃えております。包丁についての詳しいご説明や研ぎ方のご説明をしています。見学や包丁に関するご相談等は無料ですので、遠慮なくご来店ください。

〒556-0002
大阪市浪速区恵美須東1-4-7
TEL:06-4301-7860
email:info@TowerKnives.com
営業時間:10:00-18:00
定休日:年中無休

公式HPへ

研ぎ直しサービス
タワーナイブズで購入したものだけでなく他店で購入したものも研ぎ直しできます。ハイバーグさんも「うちの研ぎは値打ちがあると思います」とおっしゃっていました。※ 包丁によっては研げない物があります。
工房見学
タワーナイブズ大阪店には、あらゆる研ぎの機能を備えた工房があり、いつでもガラス越しに見学できるようになっています。また、定期的に地方から職人がきて、工房としても利用しています。
タワーナイブス東京
東京スカイツリーの隣、ショッピングモールの東京ソラマチ4階に東京店があります。
通販
タワーナイブズのホームページから、包丁や砥石を通信販売で購入することもできます。(+500円で名入れもできます)